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英国のボーダー・コリーに関する遺伝性疾患について(訳文)


進行性網膜畏縮(PRA)

全体性(GPRA)と中心性(CPRA)があり、GERAは今のところボーダー・コリーには見られないが、しかしCPRAは発症している。治療法はないので、根絶しなくてはならない。2003年、ISDSの方法で検査した犬にPRAが見られた。私の知る限りではイギリスのショードッグにはまだPRAは見られない。繁殖に使う犬にはこの疾患をなくすため、引き続きテストを行う。PRAの犬は決して繁殖に用いない。


コリー・アイ・アノマリー(CEA)

最近コリー・アイ・アノマリーが注目されている。ショードッグとISDSの作業犬にこの疾患が見られた。2003年には、ISDSの検査により成犬12頭、2胎でCEAが発見された。CEAの犬は、両親のどちらかがCEAであるか、あるいは両親共キャリア犬である。CEAを根絶させるためには、全ての子犬を生後6週で検査をすることが必要である(新しい飼い主に渡す前に)。そして繁殖犬は繁殖に用いる前検査をすることが必要である まだ発症率は1.5~2.5%と高くはないが、キャリア犬の数は少ないとは言えないだろう。 アメリカのコーネル大学で専門的な研究が行われている。病気の原因となる遺伝子を分離し血液検査を行っている。この検査で遺伝子の状態が3つ(正常、キャリア、発症)のうちのどれであるか分かる。検査はオプティゲン社が行っている。

検査の申し込み先はE-mail : genetest@optigen.comである。費用は1頭あたり180USドル、子犬は120USドルである。 オーストラリアでも近く病気の原因となる遺伝子の分離が始まる予定である。 まだ検査を受けていないのなら、子犬でも成犬でもCEAの検査はすべきであると思う。

コリーアイ・アノマリー(CEA)の検査⇒National Border Collie Council


セロイド・リポフスチン症(CL)

まれな病気ではあるが、犬の神経細胞を侵す遺伝性疾患で、接触感染はしない。病気に侵されていても1歳半までは症状はあまり出ず、その後顕著になり、3歳以上生きることは難しい。オーストラリアで原因となる遺伝子が発見され、近いうちに検査方法も確立されるであろう。イギリスではキャリア犬が1頭見つかっている。9年前オーストラリアから輸入された犬だろうと思われる。

CL(セロイド・リボフチノス)の検査⇒National Border Collie Council


てんかん

てんかんをおこすボーダー・コリーもいるが、発症率は非常に低い。私もほとんど聞いたことはないが、まったくないわけではない。薬でてんかんの頻度を減らすことができる。


股関節形成不全(HD)

ボーダー・コリーではあまり心配はなく、スコアが高いこともあるがまれである。イギリスの平均値は左右の合計が14である。一番よくないのは52:52で、一番良いのは0:0である。(注:日本のスコア値は45:45)高いスコアの犬を繁殖に用いることは大変無責任である。スコアの低い両親から生まれた子犬はやはりスコアが低い。イギリスでは1歳以下の犬を検査することはできない。スコアが高い犬でも、ショーリングではきれいな動きができるので分かりにくいこともある。

ISDS登録のボーダー・コリーも股関節形成不全の検査を行うことがあるが、羊飼いたちは検査は時間の無駄だと考えている。 自分の飼い犬を繁殖しようと思うなら、検査をすべきである。犬のレントゲン写真を獣医協会へ送付すると、かかりつけの獣医のところへ結果が送られてくる。また、イギリスケネルクラブでは結果を公表している。

股関節の検査・股関節形成不全の詳しい情報⇒JAHD


ひじ

アメリカでは検査のためひじのレントゲン写真をとることが多いが、ボーダーコリーはひじの問題は少ないようだ。2004年検査された犬は、ISDS登録6500頭とケネルクラブ登録2500頭のうち1頭だけである。


聴力検査

イギリスでは自分の犬に聴力検査をするブリーダーは非常に少ない。ボーダー・コリーの聴力には問題がない。ただ10年前検査が行われるようになってから、聴力に問題ありとされた犬が1頭だけいた。羊飼い達は聴力検査など不必要だと思っているので、検査をすることはない。


ボーダー・コリーは他の犬種と比べても、健康で長生きをする犬である。
いつまでも健康に生活できるよう、我々は常に気を配る必要がある。適切な繁殖や必要な検査を行うことにより、 遺伝性疾患の心配のない健康な犬を育てることができるのである。



(文:ダグラス・コリアー(英国) 訳:虹川由美)
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